水稲育苗ハウスでかんきつ類(2025年10月2週号)
「収穫したばかりのかんきつはジューシーさが違います。果汁、香りの高さを感じてほしいです」と話すのは、新発田市米倉の齋藤大(だい)さん(33)。ハウスを中心にかんきつ類やブドウ、イチジクなどの果樹を栽培する。中でも水稲育苗ハウスを活用したかんきつ類は、飲食店の需要に合わせて数を増やし、ハウス2棟で10品種以上、140本を栽培している。


齋藤さんは新規就農1年目。新潟市西蒲区の農業法人に4年間従事する中、口に運びやすく、調理しなくても比較的おいしい果樹を柱として営農したいという意欲が湧いてきた。ブドウやイチジク、そして「成功したら面白い」と考え、雪国ではなじみがないかんきつ類のハウス栽培を始めた。
かんきつ類の栽培には根域制限栽培ポットを利用し、灌水(かんすい)装置を設置することで、効率良く管理する。剪定(せんてい)、摘果を経て、9月に収穫を開始。品種を変えながら4月まで収穫する予定だ。
齋藤さんは「『リスボン』『マイヤー』などレモンは特に多くの品種を扱っています。オレンジやライムもあり、今はプチプチとした食感が特徴の『フィンガーライム』が旬です」と話す。
かんきつ類は常緑樹のため、寒さに弱く越冬が課題。昨年の冬は厳しかったこともあり、木の傷みや葉が枯れる被害に悩まされた。それに対し、佐渡島や愛媛県などの産地に足を運び、地道に情報を収集。木の仕立て方や寒さに強い品種の導入で、新潟の冬に適応するよう試行を重ねる。
齋藤さんが重視していることは、長期間にわたってかんきつ類を供給すること。秋から春が旬だが、最需要期の夏に多く出荷できるよう品種の検討や栽培技術習得を行う。
今後は、苗木とハウスを増やす予定で、まずはかんきつ類で100万円の売り上げを目指す。「新鮮な果実を届けられるよう、大切に育てていきたい」と熱意を見せる。
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