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施設内で野菜など水耕栽培×チョウザメ養殖(2025年6月1週号)

長岡市上前島の「株式会社プラントフォーム(山本祐二代表取締役最高経営責任者〈CEO〉、45歳)」では「アクアポニックス」というシステムでレタスやケール、エディブルフラワー(食用花)などを生産すると同時に、チョウザメの養殖も行っている。水耕栽培と魚の養殖を同じ設備で行う手法で、魚の排せつ物をバクテリアが分解することで植物の液肥に利用できる。農薬や化学肥料を使わず栽培できるほか、植物が水を浄化する作用も持つ。

「レタスをはじめ、カラーホウレンソウやエディブルフラワーなど多品目を栽培しています」山本CEO
養殖するチョウザメの幼魚


 「野菜や魚を育てるのと並行し、この設備自体を導入していただくことも当社の仕事にしています」と話す山本CEO。現在、同社による国内の導入実績は7件。導入した事例を参考にして、新規導入や増設を決めるケースが出ているという。

 一方で、機械化が進まず面積当たりの運営経費が高いことが課題だという。植物工場は1㌶以上の設備も多いのに対し、アクアポニックスは国内最大でも30㌃程度。「従来型の植物工場並みの規模になれば機械化が割に合うようになるので、大規模な設備の導入を進められるよう、早期に事業拡大を図りたいですね」と話す。

 ビニールハウスや建物の中に設備を設置するため、近年多発する異常気象の影響を受けにくいメリットがある。季節に関係なく栽培でき、土耕よりも栽培期間が短いため、収穫回数を多くできる。「主力のレタスは1カ月ほどで収穫できるので、年12回転しています。年間を通じて安定して生産することで、通年雇用ができるのもメリットですね」と話す。

 肥料を自給できることも強みだ。日本では、化成肥料の原料を100%近く輸入に頼っているため、国際情勢の変化などによっては供給が止まってしまうリスクをはらむ。

 安定的な食料生産を考えると「重要な要素」と強調する山本CEO。「まだ知名度は低いですが、次世代の食料生産技術の一つとして、アクアポニックスをもっと広めたいですね。当社の事業拡大だけでなく各地で導入者を増やし、日本の食料を安定的に供給するための欠かせない手段になれば」と展望を話す。

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