連載:私の農業経営/牛削蹄師、人工授精師 一年一産へ資格取得/新潟県佐渡市・野﨑健司さん(2026年4月3週号)
佐渡市戸地で繁殖用雌牛20頭、育成牛と子牛14頭を飼養しています。手塩にかけて育てた子牛は、年に3度開催される高千(たかち)家畜市場の競りへ出します。

JA佐渡で畜産指導を長年行っていた父の勧めもあり、21歳の時、父が飼育していた牛数頭を引き継いで就農しました。家畜人工授精師と、牛の蹄を削って整える牛削蹄師(うしさくていし)の資格を取得しました。「一年一産」を実現するために必要な知識や技術だと思ったからです。適切な人工授精のタイミングを把握するために小まめな発情を確認し、正常な起立姿勢を保つために定期的な削蹄を行っています。
就農したての頃は飼育方法について父の指導を受け、マイペースな面もありましたが、2020年に発生した新型コロナウイルスの流行で経営意識が大きく変化しました。旅行業界や外食産業が打撃を受け、牛肉の取引価格も大幅に下落。子牛1頭の販売価格が20万~30万円下がりました。「畜産業はのんびりやるものじゃない」と目が覚めて、心のスイッチが入りました。
消費者に求められる、より良い牛を育てることが何よりも大切と考え、まずは子牛の飼育方法を見直しました。
これまでは子牛をロープで係留するつなぎ飼いをしていましたが、群れ飼いに変更しました。肥育農家は子牛を群れで飼育することが多いため、肥育農家が飼いやすく、出荷先の環境に慣れやすくなるメリットがあります。
また、群れの中でうまく順応できない子牛は個別に分けて飼育を行い、これまで以上に子牛の個性に寄り添った環境づくりを心がけています。

将来的には法人化し、畜舎を増築して100頭規模まで牛を増やしたいです。法人化することで雇用する人材を確保し、かつて父がそうであったように畜産業に携わる人を育てていきたいです。
