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にいがた版  2016年5月1週号

くびき牛 知名度アップへ

荻谷畜産㈱に就農 近藤大貴さん

2015年の本県の新規就農者数は285人で過去最多。農業法人数の増加などに伴い、若い世代の就農者数が増えているという。上越市牧区の近藤大貴(まさき)さん(21)もその一人。今春、農業の担い手として新たな一歩を踏み出した。

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「おいしさはどこの牛にも負けません」と近藤さん

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予防注射のため、牛を固定する近藤さん

「自分でやれることはまだ少ないですが、先輩に教えてもらいながら楽しく仕事をしています」と笑顔で話す近藤さん。自宅で牛を飼っていた祖父の影響もあり、幼い頃から農業に携わりたいという強い思いを持っていた。
農業高校の畜産学科に入学後、牛の繁殖技術への関心が強まり「どうせ勉強するのなら、繁殖について詳しく学びたい」と家畜人工授精師免許が取得できる県農業大学校へ進学。卒業後、頸城区の荻谷畜産株式会社(荻谷耕治社長)に就農し、現在、夢だった牛の飼育管理作業に携わっている。
「頭数が多いので、健康状態の変化を見落とさないようにするのがとても大変です。餌をしっかり食べているかどうかが重要なので、できるだけ念入りに観察するようにしています」と近藤さん。
毎日、朝夕2時間ずつ飼料を与え、詳細に牛の様子を観察する。同社で飼育している牛は160頭ほどで数が多い分、余計に気が抜けないという。体調の悪い牛を見つけた場合はすぐに先輩に相談し、獣医師を呼んでその原因を一緒に探るなど、牛に対する思いは格別だ。
素牛(もとうし)が出荷される時期には、市場へ出向き、血統や体型、どのような牛に価値がつくかを意欲的に勉強している。在学中から先生に頼み込んで、市場へ毎回行かせてもらうほど熱心に牛と向き合ってきた。
そんな近藤さんの夢は、頸城地域で育てられた牛「くびき牛」のブランドを有名にし、おいしさをより多くの消費者に知ってもらうことだ。
「くびき牛はブランド力こそ弱いですが、おいしさはどこの牛にも負けません。地産地消にもつながってほしいです」と真剣なまなざしで話す。近藤さんの出身地の牧区には元々多くの畜産農家がいたが、現在は一人もいなくなってしまった。将来は地元で繁殖から肥育まで一貫して手がけ、牛の力で地域活性化をしたいと考えている。若手畜産農家として、今後に期待がかかる。
(中嶋未来)

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