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にいがた版 2018年1月1週号

Amazing!
農業&田舎の魅力発掘

日本を訪れる外国人は年々増加しており、目的は観光や留学、ビジネスなどさまざまです。そんな中、縁あって日本に、そして新潟県に移住した外国人の方々がいます。生まれてからずっと新潟に住んでいると、何ごとも「当たり前」にとらえてしまいがちですが、県外、そして海外から見ると、普段は気付かないような新たな発見があります。移住した人だからこそ分かる新潟の農業、田舎の魅力を聞きました。

マーカス・ソトさん(53歳)
▽米国・ニューヨーク州出身
▽佐渡市へ移住

(1-1)新年号「マーカスさん」

自慢のパンを手にマーカスさん、智子さん夫妻

Q 新潟に来たきっかけは?
ニューヨークで妻と出会って結婚し、その後は千葉県で暮らしていました。佐渡へは、太鼓芸能集団「鼓童」を見に、旅行で妻と来たのが最初です。自然がたくさんある暮らしやすい環境で、とても気に入りました。子供がまだ小さかったこともあり、子育てに最適な場所だと思いましたね。元々、日本の文化や祭りにとても興味があったので、伝統を大切にしている佐渡へ移住を決めました。移住してから27年がたちましたね。

Q 実際に住んでみてどうですか?
時間がゆっくりと流れている感じがすごくいいですね。僕に合っていると思いました。都会のように人も多くないので、とても落ち着いて暮らせます。歩いてすぐ、海にも山にも行けるのが本当に素晴らしい。佐渡は、子供を伸び伸びと育てることのできる最高の環境です。子供が大きくなった時、都会に出て行きたいと思うかもしれないけど、大人になって人生を振り返った時に「佐渡で生活できて良かったな」って、きっと思えるくらい、いいところだと思います。

Q 現在は何をしているの?
今は、佐渡市羽茂で「T&M Bread Delivery SADO Island」(ティーアンドエムブレッドデリバリーサドアイランド)というパン屋を、妻と共に営んでいます。ロングセラー商品はアップルパイで、西三川産のリンゴをたっぷり使っています。羽茂産の小豆を使ったアンパンも人気ですね。材料はできる限り佐渡産のものを使用していて、季節ごとの旬のおいしさを大切にしています。自分で畑もやっているので、そこで取れた野菜やフルーツを使うこともあります。近所の人はもちろんのこと、全国各地からたくさんのお客さんが来てくれます。お盆やお正月は行列になっちゃって。店が狭いからなおさらなんですが(笑)。「とてもおいしい」と皆さんが喜んでくれることが何よりうれしいですね。

Q 畑では何を栽培しているの?
ハーブやジャガイモ、サツマイモ、ピーマンやキャベツ、ハクサイなどさまざまです。メロンやイチジクも栽培していますよ。佐渡に来て一から畑を始め、徐々に品目を増やしました。土地が豊かなので、頑張って育ててみようと思って。昔からオーガニック野菜に興味があったので、化学農薬を使わない栽培を心掛けています。病害虫の対策がとても大変ですが、インターネットや本を読んで勉強しています。

Q 今後の目標は?
小麦の自家栽培をしてみたいですね。小麦の中でも、パンに向いている品種、向いていない品種があるので、勉強したいです。何年かかるか分からないけれど、自家栽培した小麦を使ったパンを店に並べることができたら最高ですね。あと、販売だけでなく、喫茶店のような、みんなが集まってご飯を食べられるような場所をつくれたらいいなと思っています。

川﨑 パトリシアさん(39歳)
▽米国・アリゾナ州出身
▽岩船郡関川村へ移住

(1-1)新年号「パトリシアさん」

川﨑さん夫妻と子供たち

Q 新潟に来たきっかけは?
日本語を勉強するため、留学生として来日しました。関東の大学に通っていて、その時に、夫と出会いました。留学期間が終わり、一度はアメリカへ帰ったものの、まだまだ勉強したいことがあったのと、どうしても夫に会いたくて再来日しました(笑)。当時、夫は国家公務員として働いていたのですが、自分自身の生き方を見直した時に「農」の重要性に気付いたそうです。彼の「農業をやりたい」という意志の強さに引かれ、結婚後、彼の故郷である新潟県へやってきました。現在は関川村に住んでいて、夫が中心となって農業をしています。たくさん収穫できたときには、村の人にお裾分けすることもありますが、基本的には自分たちの食べる分程度の野菜を栽培しています。

Q 関川村の印象は?
「わぁ、美しい!」と心から思えるくらい豊かな自然に囲まれている、魅力たっぷりの村だと思います。山があって、川があって、自然の恵みがいっぱい。それと同時に、人の温かさにあふれています。自然豊かな分、雪が多く、不便も伴いますが、雪があるからこそ、きれいな水が生まれ、おいしいお米を作ることができます。雪と共に暮らすのは大変ですが、そんな時こそ人の温かさが力となります。不便さをみんなで分け合うと、不便は楽しくなります。私たちの暮らしは経済的に豊かとは言えませんが、優しい村の人たちと夫、たくさんの子供たちに囲まれて、とても心豊かに過ごしています。実は今、おなかの中にもう一人いるので、家族が増えるのも楽しみです。

Q 関川村で活動していることは?
関川村の魅力を伝える情報誌「Sparkle」の作製、発行をしています。四季をイメージして4冊発行する予定で、昨年3月に2冊目を発行しました。1冊目は村の補助金を活用して作製しましたが、2冊目はインターネット上でプレゼンテーションして資金を集める「クラウドファンディング」を活用しました。3冊目、4冊目は企業から協賛金を募って、作製したいと考えています。

Q なぜ情報誌の作製を?
関川村で暮らし始めてから、関川村の魅力をもっと多くの人に伝えたいと思うようになりました。「関川村の人たちはこんなにすごいんだよ!」ということをみんなに知ってもらいたくて。ただ一生懸命に生きている姿が本当にかっこいい!(笑)。自分のできる限りの感謝を形にしたのがこの情報誌です。単なる店や施設の紹介だけでなく、そこで働く人にスポットを当てています。「この人に会ってみたいな」と思って関川村に来てくれたら、とてもうれしいですね。

Q 今後の目標は?
情報誌は、私一人の力だけでなく、周りの人たちの支えや地元の高校生たちが積極的に作製に参加してくれているおかげで発行できています。人の温かさとつながりは、関川村の大きな誇りです。村外から来てくれた人に「いいところだね」と言ってもらえると、「自信を持って宣伝しなくちゃ」という気持ちになりますし、関川村の人たちも「ここはいいところなんだな」と、村の良さを再認識できます。これから、もっと多くの人に情報誌を手に取ってもらい、講演会なども開催して、関川村の良さを全世界に発信していきたいです。

ガルシア・バランコ・エミリオさん(37歳)
▽スペイン出身
▽上越市柿崎区へ移住

(1-1)新年号「エミリオさん」

電気柵の撤去作業を行うエミリオさん

Q 新潟に来たきっかけは?
来日してから3年ほど、名古屋市の飲食店で働いていました。ですが、幼い頃から農業をしていた祖父の姿を見て育ってきたので「農業をやりたい」という思いをずっと持っていました。そんな時、上越市柿崎区の「地域おこし協力隊」の募集を見つけて「自分のやりたかった農業ができる」と思い、家族と共に移住してきました。2016年10月から地域おこし協力隊として活動しています。

Q 地域おこし協力隊の活動内容は?
農業の手伝いがメインですね。田植えや稲刈りの他、電気柵の設置や撤去などもします。区内には酪農をやっている人もいるので、牛の世話をすることもありますし、冬は農業関連の仕事が少なくなるため、除雪作業なども行います。農家さんが捕獲したイノシシをさばくこともありますね。さばき方は独学で勉強しました。分けてもらった肉は自宅で消費しているのですが、カレーにするのが一番好きですね(笑)。

Q 柿崎の印象は?
柿崎の人は、みんな元気です! 農作業で大変なときもあるけれど、それでもみんな、とても元気に暮らしています。困ったこともないです! 日本語での意志の疎通が難しいときもありますが、集落の人たちは優しいし、みんな、米や野菜を育てているので物々交換もできますしね。しいて言えば、今年は、食べるのが追い付かないほどたくさんのハクサイが収穫できたので、腐らせないようにうまく食べないといけないのが困りごとかな(笑)。私は外に出て体を動かすことが好きなので、ここでの生活が合っていると思いました。太陽や雨、雪に当たっていないと元気が無くなるので、農作業を通じて毎日楽しく生活しています。

Q 柿崎に来て良かったことは?
自然に囲まれていてとても幸せ。毎日が楽しいです。山奥にある南黒岩集落というところに住んでいるのですが雪が3㍍ほど積もります。今までこんなに雪が降る地域に住んだことはありませんでした。雪が降ると大体の人は「大変だ」と困るけれど、私は一番に「あぁ、きれい!」と思ってしまいます。もちろん、後から「大変だ」とも思うんですが(笑)。雪が好きですね。柿崎に移住するまでは都会のアパートで暮らしていたので、自然を身近に感じられる環境にとても満足しています。

Q 今後の目標は?
農家になって牧場を経営することが目標です。現在、家でヤギ5頭と烏骨鶏(うこっけい)25羽を飼育しているのですが、ヤギを100頭、烏骨鶏を250羽くらいまで増やしたいです。日本ではあまりメジャーではありませんが、ヤギ乳を販売したいと考えています。少しずつ広めていけたらいいですね。あと、柿崎にもっと人が増えてほしいです。柿崎は、田んぼがたくさんあるので農業を始めやすい環境ですし、何より伸び伸びと暮らせるので、ストレスがたまりません。ここに住めるのはとってもラッキー!(笑)。田舎に住みたい! 農業をやりたい!という人が集まって、集落の活性化につながればうれしいですね!

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