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にいがた版 2018年3月3週号

LED×水耕
冬も県産トマトを

Kimataファーム代表 野村貴巳さん 見附市

寒さに弱いトマトを冬期間も栽培しようと、発光ダイオード(LED)を使った水耕栽培に取り組んでいる見附市上新田町の「Kimataファーム」で代表を務める野村貴巳さん(40)。昨年8月、約100平方㍍のハウスを新設し、LEDライトを設置。常識にとらわれない就農1年目の若手農業者のチャレンジが今、注目を集めている。

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トマトの水耕栽培に取り組んでいる野村さん


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高出力のLEDを使って栽培

「冬場のスーパーに県産トマトが無いことに気付き、それなら自分で作ってみようと思いました」と話す野村さん。県内では冬場の日照不足で糖度が低くなるため、トマトの水耕栽培が普及していないことを知り、解決方法を調べ始めた。
その後、ある大学の研究で「LEDを使ったトマト栽培で糖度を上げることに成功した」という新聞記事を見つけた。大学に確認したところ「糖度を上げるためには、上葉から茎まで全体に照射しなければならないため、数多くのLEDが必要」ということが分かった。
「LEDの設置数が増えれば、今度は装置が邪魔をして日の光が当たりにくくなってしまいます。数を抑えるために高出力のLEDはないか、関連会社に片っ端から電話し、見つけるのに苦労しました」と当時を振り返る野村さん。
今年は例年にない大雪と低温の日が続き、ハウスに積もった雪のせいで昼間でもハウス内が暗かった。「LEDだけでは、光合成に必要な光が足りず生育が危ぶまれましたが、どうにか持ちこたえることができました」とトマトの生命力の強さに驚きを隠せない。
野村さんの栽培方法は、ナシやブドウの棚のように、主茎の上に設置した棚の上に枝を這(は)わせて成長させる。あえて、わき芽かきをしないため、収穫期には鈴なりに実を付ける。
まだ試験栽培の段階だが、採算が取れるようになるまでもう一息だという。「ひとまず、味と実の大きさはクリアできたので、あとは収量です。目標として毎月250個ほど収穫できればと思っています。水耕栽培は、うまくいけば1年以上株を維持することができるので、年間3千個くらい作れるようにしたいですね」と意気込みを話す。
(笹川正宏)

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