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にいがた版 2018年4月1週号

温泉水で水稲育苗
“美人苗”に

長澤壽弘さん 新潟市

自宅裏に湧き出ている温泉水を利用して、水稲の育苗を行っている新潟市秋葉区天ヶ沢の長澤壽弘さん(63)。地域の温泉資源を有効活用し、一風変わったユニークな農業を楽しんでいる。

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温泉が湧き出る井戸の前で長澤さん


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育苗中の水稲苗(昨年5月撮影)

「個人的な感想ですが、温泉水で育てた苗は、水道水で育てた苗よりも葉色が淡く育つような気がします。美人の湯ならぬ『美人の苗』いったところでしょうか」と話す長澤さん。
秋葉区は昔から石油の里として知られており、石油採掘時に温泉が湧き出ることがある。長澤さんは、自宅裏から湧き出た温泉水の権利を採掘業者から買い取り、生活用水として利用。実家の農業を任されるようになった20年ほど前から、水稲の育苗に温泉水を活用するようになった。
温泉水の温度は年間を通して20度に保たれており、夏はひんやり、冬は温かい。すじ播きの時期は、水道水よりも温度が高いため、周りより少し遅れて作業を開始。「水が温かいので、ハウスを被覆しなくてもシートを掛けるだけで苗が育ちます。ただ、鳥や雨などの被害が心配なので、結局被覆しているんですけどね」と笑う長澤さん。
温泉水を使うことで育苗に掛かる水道料金が節約できるメリットがある一方、温泉水に含まれるメタケイ酸という成分がハウスの骨組みを劣化させてしまうため、ハウスの補強が必要だという。
「農業は地域性が出ます。その土地ごとに農法も違います。農業は地域の資源、自然の恵みを利用して育まれていますが、わが家ではその一つが庭から出た温泉なんです」と力を込める。
(青木陵)

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