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にいがた版 2018年5月2週号

播種して養成 張芝工法より低コスト
畦畔雑草 芝生で抑制

板垣 徹さん 佐渡市

芝を活用して水田の畦畔(けいはん)雑草を管理し、草刈りの労働時間を軽減する取り組みを広めている佐渡市新穂潟上の板垣徹さん(73)。従来の張芝工法ではなく、播種することでコストが抑えられ、雑草を最小限に抑えることができると、注目を集めている。

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芝で雑草管理をしている畦畔の上で板垣さん


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芝有りと芝無しの比較画像

板垣さんの住む集落では、道路整備の影響で、圃場近くの法面(のりめん)の面積が増加したことにより、草刈りに対する農家個々の労働時間・労力が大幅に増えてしまった。
そんな時、芝を活用した水田の畦畔管理で、草刈りの労働時間を軽減しているという長野県飯山市の新聞記事を見つけた。飯山市に親戚がいる同集落の人を通じて詳しく聞き、板垣さんが中心となって取り組みを始めた。
農業普及指導センターや種の販売会社の全面協力を得て、大規模農家と生産組織を含めて約11人、畦畔面積約5500平方㍍で芝の試験栽培を実現させた。
播種することで高い密度の芝を維持できるこの方法は、雑草を最小限に抑えることができ、一度造成させると長期間維持できる。再投資の費用を抑えられるというメリットがある。
播種前の除草を徹底しなければいけないため、少し手間がかかるが、播種は手播きや背負動散で簡単に行うことができる。8月ごろに播種し、発芽から畦畔を被覆するまでの間は施肥を行う。密度が高まる前に雑草が生えてきた場合は、除草しながら養成する必要がある。
◎滑りにくく転落防止にも
順調に芝が造成した畦畔では、芝が雑草に覆いかぶさることで草刈りの必要がなくなる他、畦畔を歩く際に足が滑りにくくなり、転落事故の防止にもつながるという。
「一部の圃場では、発芽の悪い場所や雑草の成長に芝が負けてしまっている部分も見られます。課題点はまだまだありますが、事故の可能性を減らし、多大な労働時間・労力を必要とする草刈り作業を減らせるよう、芝の養成技術を確立させたいですね」と力強く話す。
(渡部奎奈)

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