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にいがた版 2018年8月1週号

水稲生育マップを作成
ICTで圃場を可視化

スマートアグリ研究会 長岡市と農業関係団体が設立

農業者の高齢化や担い手の減少が進み、労働力不足が顕著になっている中、長岡市では農業関係団体と共に「スマートアグリ研究会」を設立。農業の生産効率の向上と低コスト化を図ることを目的に、ICT(情報通信技術)を活用する実証を行っている。

特殊カメラを搭載したドローンで葉色や茎数を計測する

特殊カメラを搭載したドローンで葉色や茎数を計測する



空撮の結果を基に作成した生育マップ(青い部分の生育が不足)

空撮の結果を基に作成した生育マップ(青い部分の生育が不足)

 

スマートアグリ研究会では7月6日に、中山間地にあたる長岡市小国町の三桶生産組合の圃場で「リモートセンシング」技術を用いた実証を行った。特殊カメラを搭載したドローン(小型無人航空機)を使い、上空30㍍から幼穂形成期の水稲圃場の葉色や茎数を計測。その結果を基に圃場ごとの生育マップを作成する。
生育のばらつきを把握して追肥を行うことで、収量の均一化を図ることができる。ドローンは手動制御だけでなく、オペレーターのタブレットを指でなぞって導線を作ることで自動制御も可能だ。
長岡市農水産政策課の五十嵐智行課長は「リモートセンシング自体は一つの手段でしかありません。最終的に収益の向上につながるように、どう活用するかが課題です。実証結果を適切に発信することで、生産者の皆さんへの普及につなげていきたいです」と今後の展望を話す。
生育マップデータは、産業用無人ヘリなどと連動させることで、自動的に肥料を調整する可変施肥が可能となる。
組合員23人で約27㌶の水稲を栽培する三桶生産組合の鷲尾博良事務局長(57)は「一つの圃場の中でも、地力などの条件は大きなばらつきがあります。今回の結果を基に、一部圃場で可変施肥による実証を行う予定です。その他の圃場でも、管理者に生育マップを渡し、施肥量の調整を促します」と具体的なデータ活用を計画している。
圃場の条件や状態がデータとして可視化され、それに基づく自動的管理が普及すれば、新規就農者の現場参入も比較的平易になるという。五十嵐課長は「先進技術の導入により、これまで先人が培ってきた営農の経験と知識が裏打ちされ、それが後継者の育成につながっていけば」と期待を寄せる。
(丸山圭子)

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