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にいがた版 2018年10月4週号

命の大切さ伝える若き「肥育名人」

関 克史さん 長岡市

全国でも数少ない黒毛和牛の繁殖肥育の完全一貫飼養を行っている長岡市山古志の関克史さん(37)。現在の飼養頭数約80頭のうち肥育牛約60頭全てが自家産で、常に牛が最大限の能力を発揮できるよう管理を徹底している。

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共励会へ出品する牛と共に関さん

 

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食事会で牛の説明をする関さん

関さんの経営の特徴は、試行錯誤の末にたどり着いた唯一無二の自家配合飼料だ。「思った通りに牛が育ってくれず、精神的に苦しい時期もありましたが、その分、肉質の良い牛に育ってくれたときはすごくうれしかったですね」と話す。現在では、「にいがた和牛推進協議会」が厳しい基準の下に認定する「にいがた和牛肥育名人」に名を連ねている。
近年、肉用子牛の取引価格の高騰が続いているが、導入コストを削減し、安定的に素牛〈もとうし〉の確保ができることなど、繁殖肥育一貫飼養の利点は大きい。
「繁殖が遅れると全てに影響してくるので、一年一産を基本に管理しています」と繁殖管理にも力を入れている関さん。「今年からは遠隔操作が可能なカメラを導入しました。分娩〈ぶんべん〉時の早急な対応が可能で、人の気配に敏感な牛へのストレス緩和につながり、助かっていますね」と導入のメリットを話す。
関さんは、生産者として消費者に自分の育てた牛を直接提供する機会を大切にしている。牛の角突きをはじめとした各種イベント会場での串焼きの販売や、地元の飲食店と協力して開く食事会などを積極的に行っている。
「命が産まれて、出荷され食べられるまでを見届けることができるのも、繁殖肥育一貫飼養の特徴の一つだと思います。食事や説明を通して、消費者の方にも牛肉の事を知ってもらい、命をいただくありがたさを伝えられたらうれしいです」と笑顔で話す。
10月26日に「全国肉用牛枝肉共励会」が東京食肉市場で開催される。日本各地から優秀な牛が集まる最大規模の共励会に、関さんの牛が出品されることになった。新潟県からは関さんの牛を含めて3頭が出品される。
「この共励会の最高位となる名誉賞に入賞することが夢です。お世話になった方や牛肉を食べてくださる方々への恩返しの意味も込めて頑張っている姿を見せたいですね」と夢への一歩を踏み出す。
(小山純希)

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