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にいがた版 2018年11月3週号

米麺で米消費拡大へ

所山 正隆さん 上越市

「米を粒のまま食べる消費が減ってきているので、麺に加工することで消費量を伸ばしていきたいですね」と話すのは、上越市下野田の所山正隆〈しょやままさたか〉さん(69)。同市内の製麺メーカー「株式会社自然芋そば」と協力し、製造した米麺をタイ料理チェーン店に卸すなど、米麺の普及に励んでいる。

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今年から多収の高アミロース新品種「亜細亜
のかおり」の栽培を始めた所山さん

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所山さんたちが栽培した米粉用米で作った米麺

所山さんが米粉用米に取り組もうと思ったのは約10年前。同製麺メーカーの前社長と「東南アジアで広く親しまれているフォーを日本でも作ることができないか」との話になったことが始まりだ。原料となる米の生産は、所山さんが担当することになった。
一般的な食用の米は、炊飯米を硬くするアミロースの含有量が低い低アミロース米で、表面の粘りが強い。米麺には粘りの少ない高アミロース米が適しており、所山さんは、当時の農研機構から、高アミロース品種「北陸207号」(後の「越のかおり」)を薦められ、栽培を始めた。
その頃は、米粉ブームもあって生産が追いつかず、近隣の農家11軒で、09年に「上越米粉研究会」を立ち上げて越のかおりの生産に当たった。しかし、3年ほどたつと、米粉の需要が下火になり、12~14年は作付け中止に追い込まれてしまった。
そんな中、同研究会と同製麺メーカーは、タイ料理を中心にレストランチェーンを展開している「株式会社ミールワークス(本社=東京都)」と出合った。同社は、日本でおいしい生米麺を作ろうと提携先を探しており、15年から、同社と提携して米麺生産を行うことになった。
所山さんたちが栽培した米でできた米麺は、味や食感が本場に近いと好評。現在では、同社の運営するタイ料理店全店で使用されている。
同研究会の米粉用米の生産量は、15年産に約20㌧だったが、昨年産には約240㌧にまで増加。米麺の売れ行きも好調で、より単収の高い品種が必要となった。そこで今年から、越のかおりより20%ほど多収の高アミロース新品種「亜細亜のかおり」の栽培にも新たに取り組んでいる。
「米粉用米を生産する人手が足りなくなることも考えられるので、上越米粉研究会のメンバーをもっと増やしていきたい」と所山さん。「今は麺といえば『ラーメン・うどん・そば・パスタ』。そこに米麺が第5の麺として続くようになってほしい」と希望を持って、日々作業にいそしんでいる。
(中嶋未来)

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