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にいがた版 2018年12月1週号

ベビーパーシモン
小さな柿の産地化へ

ささかみおけさ柿生産組合代表 清田 文雄さん 阿賀野市

「最初は特にやる気はなく、試しに作ってみようかぐらいの気持ちでした」と話すのは、阿賀野市笹神地区の「ささかみおけさ柿生産組合」代表の清田文雄さん(75)。同生産組合では、2016年から柿品種「ベビーパーシモン」の栽培を新たに始め、産地化に向けて、栽培技術の向上や生産規模の拡大に取り組んでいる。

(12-1)トップ「佐藤友和」

接ぎ木の方法を生産組合のメ
ンバーに指導する清田さん

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鈴なりのベビーパーシモン

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重さは6個でわずか200㌘

ベビーパーシモンの最大の特徴は、一般的なおけさ柿の6分の1程度の大きさで、糖度が18度程度と高いことだ。さらに、外皮はやや薄く、種が無いのも特徴で、皮ごと食べることができる。
同地区は、県内で一番規模の小さい柿産地といわれている。県の担当者から「規模の小さな産地だからこそ栽培できるのではないか」と声を掛けられたことがきっかけで同品種の栽培が始まった。JAささかみの担当指導員は「現在、ベビーパーシモンの大きな産地としての地域が無いので、産地になることができれば話題になる」と期待を込める。
同品種の生産は、興味を持った数軒の農家から始まった。現在は、取り組みの規模に違いはあるものの、同生産組合の半数近くの農家が生産している。
「ベビーパーシモンの栽培方法は、一般的な柿と真逆なんです」と清田さんは話す。一般的な柿の栽培方法は、選ばれた果実に栄養が行くように剪定〈せんてい〉や摘果を行うが、同品種にはそのような作業が必要ない。むしろ、栄養を分散させることで、一つ一つの果実を小さくし、できるだけ多く実がなるよう仕上げていく。
剪定や摘果の作業がない代わりに、出荷の際には実が小さいため、機械を使っての選別作業ができず、全て手作業となることが大変だという。
「栽培を始めて今年で3年目。まだ課題は多く、試行錯誤している最中です」と清田さん。今年、初収穫され荷受されたもののうち、約5分の1の40㌔㌘程度しか品質の良いものが無かった。同品種は早く花芽が付くので、防除時期が少し遅れたためか、害虫による被害が見受けられたという。
「桃栗三年、柿八年という言葉がありますが、3年で簡単に良いものはできないですね」と苦笑いの清田さん。
「農家、JA、行政の三つの力が合わされてこそ産地化できるのではないかと思います。規模が小さい産地ならではの方法を見つけて、産地化に向けて頑張っていきたいです」と意欲的だ。
(佐藤友和)

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