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にいがた版 2019年5月1週号

景観保全と特産品開発で地域の力に

門出総合農場 柏崎市

柏崎市高柳町門出地区で景観保全や生産した農産物を使った特産品の開発に取り組んでいる同地区の「門出総合農場」。指導農業士の鈴木貴良〈きよし〉さん(54)が中心となり、地域の活性化に励んでいる。

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看板を手に将来を見据える山崎さん

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鈴木さん㊧の指導を受けながら、小
麦を収穫する矢代さん(昨年7月)

門出総合農場は元々、鈴木さんが一人で運営していたが、現在は農業技術を学んだ山崎智仁さん(43)、矢代耕太さん(27)と共に、水稲・小麦・大豆・ソバなどを約7㌶作付けする他、水稲育苗後のハウスを利用した鶏の肥育も行っている。
門出地区は中山間地で、耕作放棄による圃場の荒廃で景観が損なわれることが問題となっていた。「里山の景観を守る」ことを経営理念としている同農場は、再び耕作する場所を増やすことで、景観の保全につなげている。
「中山間地で手間が掛かるため、協力して作業することが重要です。山崎さん、矢代さんと一緒に作業するからこそ、この規模での耕作ができます」と鈴木さん。耕地は水田が多く、水稲作付けも行うが、水の確保が困難な耕地には、転作作物を中心に作付けしている。
収穫した作物は特産品としての活用も進めており、鶏は「じょんのび鶏」という名前で、同市内の飲食店で提供されている。山崎さんは「量が少ないので限定品となりますが、ありがたいことに度々売り切れになります」と笑顔を見せる。飼料には、小麦麦芽の殻やおからを使用しており、作物を無駄なく活用している。
鈴木さんは「高柳へ遊びに来て、初めて里山の風景を見た東京の小学生が『懐かしいと思った』と言ってくれたのが忘れられません。これまでの景観保全の取り組みが報われたと思い、うれしかったです」と思い出深く話す。外国人ツアー客も訪れるなど、里山の景観は観光スポットとして注目されつつある。
同農場では新たな取り組みとして、3月に小麦の製粉機を導入した。山崎さんは「昨年に収穫した小麦を小麦粉として販売し、新たな販路を開拓したいと思っています。さらに柏崎の名産である海産物を使った特産品も開発し、柏崎市全体の食材を売り出していきたいですね」と意気込む。
(島岡譲)

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