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にいがた版 2019年11月1週号

極早生水稲新品種「葉月みのり」
収量高く良食味

県農業総合研究所作物研究センター 長岡市

昨今、米の新品種が相次ぎ登場している中、県農業総合研究所作物研究センターでは、極早生で食味の良い新品種「葉月みのり」を開発し、今年から本格的な栽培が始まった。本県産で最も早く食べられる新米として期待されている。

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葉月みのりと他品種の玄米との比較

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圃場での品種選抜

極早生品種・葉月みのりは収量性や食味に優れる。同センターが5月中旬に移植した試験では、成熟期は8月25日と早生品種「越路早生」より3日早い。収量は10㌃当たり556㌔と越路早生より約30㌔多く、食味は当年度(11月)と梅雨越し(翌年7月)の両方の食味官能試験で、越路早生より優れていた。
現在、柏崎地域を中心に県内で約70㌶栽培されている葉月みのり。同地域では、本県産米をいち早く生産、出荷することを目標に取り組んでおり、これまで、越路早生を早植えしていた。しかし、早植えにより移植後の低温などで初期生育が悪く、収量が安定しないという課題があった。低温リスクがある早植えをしなくても8月中に販売できる良食味米の開発が生産現場から望まれ、葉月みのりの開発に至った。
葉月みのりの高温耐性は中程度で越路早生よりやや劣り、十分とは言えない。
米の品質は、出穂してから登熟初中期にかけてが最も高温の影響を受けやすく、極早生品種は、7月中~8月上旬の1年間の中で最も気温が高い時期に登熟期を迎えることから、品質の維持が難しい。
今年の葉月みのりは、猛暑の影響もあり品質が低下してしまったが、今後、施肥量や水管理など、同品種に合った栽培管理が定着することで、「早期収穫」「良食味」「安定した収量」という品種特性を維持しつつ、品質低下を最小限に抑えることができると期待される。
米の品種開発には10年、15年と長い期間を要する。一つの交配で誕生する株の数は約2千。そして、その交配パターンは数百通りにまで及び、研究員の目や機械で玄米品質・食味が優れる候補を毎年絞り込んでいく。
そのような過程を経て誕生した葉月みのりは、「もっと早く新潟県産の新米が食べたい」という市場ニーズ、「危険分散を図りたい」「異なる収穫期の組み合わせで生産コストを下げたい」という生産者ニーズ、双方のニーズに応える品種となることが期待される。

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