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にいがた版 2020年5月2週号

ドローンでナシ人工授粉

株式会社アグリシップ 燕市

農業用ドローン(小型無人機)を導入して、スマート農業に取り組んでいる燕市児木の「株式会社アグリシップ」代表の佐藤広幸さん(64)。今年2年目となる農業用ドローンを活用した、ナシの人工授粉を行った。

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農業用ドローンでナシの人工授粉を行っている
佐藤代表㊨と社員の小越智央さん(22)

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ナシの木の頭上1.5㍍ほどから散布する

「新しい技術をどんどん取り入れて、若者が農業に興味を持ってくれるようなことがしたいです」と話す佐藤さん。水稲14㌶、ナシ60㌃、露地野菜70㌃の他、水稲直播作業受託35㌶、水稲防除作業受託120㌶で経営している。
ナシの人工授粉は、花粉を授粉用梵天に付けて、めしべの柱頭に付ける手作業が一般的だが、開花中の短い期間に集中して行う必要があるため、多くの労働力が必要だ。
水田の農薬散布用に導入した農業用ドローンを用いて、ナシの人工授粉を省力化するため、昨年「南水」と「ル レクチエ」で実験を行った。溶液授粉には、本来ハンドスプレーを用いて行うが、濃度や配合をドローン散布用に調合したものを散布した。
「昨年は実験的に樹木の一部分でドローンによる授粉作業を行いました。実用化に向けての課題はまだたくさんありますが、手応えは感じられました」と佐藤さん。授粉には、花粉を懸濁〈けんだく〉した寒天溶液をドローンに積み、ナシの木の頭上1・5㍍ほどから適量の散布を行う。作業時間は1本の木で1分とかからないため、手作業に比べてはるかに効率的だ。
ナシは、一つの「花そう」に6から8個の花が咲き、上、横、下と向きがそろっていない。「ドローンによる上空からの花粉散布では全ての花にうまく授粉はできませんが、一つの花そうで5割ほど結実すれば、後の摘花作業でカバーできます」と話す。
今年の人工授粉は、散布面積を拡大して、キサンタンガム溶液を使用し、受粉作業飛行を2回行った。「『南水』、ル レクチエの他に、今回は『豊水』にもドローン受粉を行いました。今後の生育が楽しみです」と笑顔を見せる。
水稲直播栽培の播種作業にもドローンを活用しており、今年は70㌃で播種を行う。「ドローンでの播種作業も2年目ですが、生育がうまくいけば作業面積を拡大し、さらなる効率化を行っていきたいです」と力を込める。
(小澤英之)

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