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にいがた版 2020年5月3週号

25年の移住生活つづり 田舎暮らし入門書出版

市井 晴也さん 魚沼市

魚沼市福山新田の市井晴也さん(53)がこのほど、農林業への思いと移住生活の様子をまとめた本『半農半林で暮らしを立てる~資金ゼロからのIターン田舎暮らし入門』を出版し、注目を集めている。

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「こういった生き方もあります」と自信の本を手に市井さん

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市井さん方のコシヒカリ

市井さんは大学卒業後、環境系NGO(非政府組織)に就職。熱帯林が伐採されることによる、環境破壊と現地住民の人権侵害の深刻さを目の当たりにした。その熱帯材を最も買っているのが日本だった。
1993年の冷害時には、日本にタイ米が大量に輸入されたが、タイでは米の値段が上がり貧困層は大打撃を受けた。そういったことから、農林業などの第1次産業が国の根幹であると確信し、自分自身が生業〈なりわい〉にしようと決心。
できるところを探していたところ、旧守門村の森林組合を紹介され、95年、28歳の時に妻の希さんと移住し、現在、森林組合の仕事をしながら3・7㌶で水稲を栽培している。
「他の仕事でやる気や元気が出なくても、第1次産業で力を発揮できる人はたくさんいるはずです。林業は仕事の成果が目に見えるし、農業は作業改善の面白さ、そして『おいしい』と言ってもらえる喜びがあります」と市井さん。
「自己資金も自分の農地もない中で、初めから農業一本で生計を立てるのはハードルが高いですが、兼業なら安心できます。うまくいかなかったことも必ず自分の糧になります」と自身の経験を話す。
農業では消費者と結び付いた産直の展開の重要性を強調する。「食べ物であることを考えると、農薬はなるべく使いたくありません。そのため斑点米が入ることがありますが、発送する米に月1回更新の近況報告を必ず添え、理解してもらうよう努めています」と話す。低農薬の他、雪室貯蔵という付加価値を付けた魚沼産「コシヒカリ」ながら、常連や子供のいる家庭へできるだけ安く届けたいという。
「任される田んぼは増える一方ですが、関係を大切にしたいので、なるべく個人へ販売していきたい」と今後の抱負を話す。市井さんの本、米はホームページから購入可能(『工房茶助』で検索)。
(浅井雅更)

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