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にいがた版 7月4週号

高温耐性の水稲「コシヒカリ新潟大学NU1号」

新潟大学 新潟市

本県の昨年産水稲「コシヒカリ」は、出穂後のフェーンや出穂前後の長期にわたる高温により、県内の広範囲で品質が低下した。そのような中、新潟大学では、暑さに強い「コシヒカリ新潟大学NU1号」の開発に成功した。

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「さらに進化したコシヒカリを
育成します」と三ツ井教授

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米胚由来の細胞。細胞培養で突然変異体
を選抜し新品種を作出する

コシヒカリ新潟大学NU1号は、コシヒカリの胚由来の細胞を培養する過程で出現した突然変異体を選抜して開発され、今年3月に品種登録された。他品種との掛け合わせではなく、コシヒカリの原種の突然変異でできた品種のため、食味や作期は原種と変わらないという。
新潟大学農学部の三ツ井敏明教授は、「コシヒカリ新潟大学NU1号は、高温耐性と高濃度CO2耐性を持ちます」と話す。
コシヒカリは出穂後10日前後に高温にさらされると乳白粒になりやすい。乳白粒は、米のでんぷんを合成する酵素と分解する酵素の働きのバランスが崩れることで発生する。でんぷんを分解する酵素「α―アミラーゼ」の働きは高温環境下で活性化し、この働きにより、でんぷんが形成不全になる。
「α―アミラーゼの働きについて研究する中で、α―アミラーゼが米の品質へ悪影響を及ぼす可能性に気づき、20年ほど前に研究を始めました」と話す三ツ井教授。2012年に、α―アミラーゼの活性化を抑えることで乳白粒の発生を低減できることを発表し、農林水産省研究成果10大トピックスの一つに選ばれた。
本県の他、鹿児島県、福岡県で高温耐性の評価を行ったところ、全ての試験圃場で、コシヒカリの原種よりも優れる高温耐性を示すことが確認され、品種登録に至った。
今春から刈羽村の農家が20㌃作付けし、栽培のしやすさや病気の発生状況などを検証していく。また、同品種だけでなく、高温に強い酒米の新品種開発に向けても取り組み中だという。
三ツ井教授は「コシヒカリ新潟大学NU1号は、いもち病耐性や耐冷性への課題もあります。今後、県や刈羽村と連携して、さらなる改良を進め、新潟コシヒカリのブランド維持に貢献したいです」と力を込める。

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