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にいがた版 2020年10月2週号

高糖度トマトにICT活用

「株式会社ベジ・アビオ」代表取締役 田中 一幸さん 新潟市

新潟市の「株式会社ベジ・アビオ」は、情報通信技術(ICT)を活用した高糖度トマトの生産に取り組んでいる。同社の高糖度トマトは、昨年2月に同市のスーパーで試食販売した結果、試食購買率95%となるなど、高評価を得ている。

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「ICTのメリットは大きいです」と田中さん

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根がフィルムにびっしりと張り付き、必要最低限の水分が供給される

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とマとマとマとの糖度は9~14度

同社は、県内農業の活性化に取り組むNSGグループの支援を受け、2016年に設立。その翌年に高糖度トマトの生産を開始した。
現在は、ハウス9棟(34㌃)で「フルティカ」を栽培し、「とマとマとマと」というブランド名を付け、県内スーパーや直売所などで販売している。
通常、フルティカは1玉の重さが約40㌘の中玉トマト。しかし、同社で栽培するフルティカは「アイメック」という栽培方法で、1玉約20㌘と、通常の半分程度の大きさに抑えている。
この栽培方法では、根の下に、ナノレベルの穴が開いたアイメックフィルムを敷き、フィルムを通して水と養分を根が吸収。必要最低限の水分しか供給されないため、生育にストレスがかかり、9~14度の高糖度で、栄養価も高いトマトの生産を可能にする。
「トマトを栽培している施設内では、ICTを利用して温度や湿度、土壌の環境状態を常時測定し、そのデータをクラウド上に蓄積しています」と話す同社代表取締役の田中一幸さん(59)。データを分析し、高糖度トマトの生産に最適な栽培環境を設定することで、供給が減る冬期間の安定生産が可能となり、10月から6月まで出荷が続く。
1台2500円程度のWebカメラを導入し、施設内の様子を10分おきに撮影。その静止画をつなぎ合わせたタイムラプス動画でトマトを確認し、栽培管理に活用している。
「若い人が参入しやすい農業にしたいです」と田中さん。農業が直面する大きな問題の一つが担い手不足だ。若い人が農業に参入したくないと考える理由として、「休みが取れない」ことが挙げられる。ICTを活用すれば、遠隔地にいても、スマートフォンから施設内の状況を確認、遠隔操作することが可能となり、休日も取りやすくなる。
ICTを活用してデータ分析し、その結果を栽培に生かすという、新しい農業のイメージを持ってもらいたいという。
「トマトの他に、野菜苗の生産にも力を入れています。一緒に生産する仲間を増やして、生産量を上げることで、産地化を目指したいです」と抱負を話す。

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