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地域の元気担う 新潟の酒(2022年1月1週号)

地域の元気担う 新潟の酒

十日町市産ホップでクラフトビール

十日町市

「十日町市から全国展開できるように頑張りたい」と話す山家さん㊧と岩田さん

 十日町市でホップを栽培する山家悠平さん(34)は、同市の株式会社醸燻酒類研究所の代表取締役・岩田貴之さん(34)とともに、自らが栽培したホップを使ったクラフトビール「真・生命の泉十日町フレッシュホップバージョン」を開発した。

 山家さんはビール造りをするためにアメリカに留学し、ホップの栽培技術を習得。2018年に地元の十日町で就農し、ホップ栽培を始めた。同地区の耕作放棄地を借り、10㌃で10種類のホップを栽培している。「つるを棚に巻き付けたり、芽かきや土寄せ、雑草管理をしたりと、作業は多いです」と話す山家さん。農薬を低減した栽培と、肥料にはビール製造工程で出る麦芽のかすを使って環境に配慮した循環型農業を実践する。

 ビール開発は、山家さんと、知人でクラフトビールの開発販売と居酒屋を展開する岩田さんがコラボレーション。通常のビールに使用される乾燥したペレットホップとは違い、生のホップを使用することで、青々しく若い香りが強く感じられるという。

 今年収穫されたホップは100㌔で、仕込んだ限定300㍑のビールは人気が高く、すぐに完売した。「ホップをつぶして実を取り出す作業は、腕の筋力を使うので大変でした」と振り返る岩田さん。

 醸燻酒類研究所のクラフトビールは、同研究所の居酒屋「ジョークン」で飲むことができるほか、市内の酒販店3店舗やインターネットでも購入が可能だ。

 ▼苦みあるサイダーも

 一方、同じホップを使用した苦みのあるクラフトサイダー「ニガイゼホップサイダー」も開発し、販売している。

 「今後は、地域住民にもホップの苗を育ててもらい、収穫したみんなのホップでビールやサイダーを造って、地域が元気になるような活動もしていきたい」と山家さん。また、「十日町産のビールが全国展開できるように、これからも頑張っていきたい」と話している。

三条市下田地区産サツマイモ「コガネセンガン」で焼酎

三条市

「五輪峠で地域の活性化を図っていきたい」と意気込みを話す古内さ

 

 

 三条市下田地区では、サツマイモを使った芋焼酎「五輪峠」を製造販売している。
 同地区は、県内有数のサツマイモの生産地。地域の特産品を使った芋焼酎の製造は、2017年に「NPO法人ソーシャルファームさんじょう」のメンバーとして活動する地域おこし協力隊の発案でスタートした。20年に東京五輪開催を控えていたことと、同地区に「五輪峠」という名の峠があったことから、下田の新たな名物として世界へ発信する目的だった。
 サツマイモは焼酎に適した品種「コガネセンガン」の苗を九州から取り寄せ、地元農家にサツマイモの栽培者「芋主」として育ててもらい、収穫したサツマイモを使用して新発田市の酒造会社に醸造を委託。原料のサツマイモのほかに、発酵させるための米麹(こめこうじ)も地元農家から提供された米を使い、仕込み用の水も吉ヶ平の湧き水を利用している。
 ▼増える「芋主」
 サツマイモを昨年栽培した農家は30軒。約3千㌔の収穫量があり、原酒で1400㍑製造した。「栽培してくれる農家は少しずつ増えています」と話す地域おこし協力隊でプロジェクトを担当する古内亮さん(40)。
 芋主には、完成した芋焼酎をお返しとしてプレゼントし、瓶のラベルには芋主の名前が印刷されていることで喜ばれているという。
 五輪峠は同地区内を中心とした酒店で販売。720㍉㍑瓶をメインに4種類を販売し、フルーティーな味わいで人気を集めている。「五輪峠は地元の酒店での販売を主にしています。下田をぜひ訪れ、知ってもらい、焼酎を購入してほしいです」と古内さん。
 今年の新酒は2月ごろに完成し、3月の一般販売を計画している。
 「活動は定着してきています。今後も地域を元気にする名物として残していきたい」と古内さんは意気込みを話す。

胎内市産ブドウでワイン

胎内市

「ラベルデザインにもこだわっています」と坂上主任

 

 「栽培技術や管理方法も分からず、初めの頃は大変苦労しました」と話すのは、「胎内高原ワイナリー」を運営する胎内市農林水産課の坂上俊主任。同ワイナリーは、果樹作物の生産振興や地域活性化を目的に2007年にオープンした。
 斜度25度の急斜面にある約6㌶のブドウ畑は、日当たりが良く、標高は最も高い所で約250㍍にもなる。昼夜の温度差と海風や山からの吹き下ろしの風が強く吹くことで、味のしっかりしたブドウが育つという。
 栽培するブドウの主な品種は、白ワイン用の「シャルドネ」「ソーヴィニヨンブラン」、赤ワイン用の「メルロー」「ツヴァイゲルト」で、寒冷地などに適した欧州系の6品種を垣根式で栽培。国内ワインの先進地、山梨県のワイナリーから栽培指導を受け、商品開発している。
 「販売当時は全く売れず、在庫の山でした」と笑う坂上主任。転機が訪れたのは13、14年に日本ワインコンクールで金賞を受賞したことだ。その結果、評価が高まり人気に火がついた。
  ▼ 1年たたずに完売
 ワインは年間約2万本を製造。県内の業者や東京、名古屋、大阪などの小売店のほか、インターネットでも販売している。人気が高く希望数の納品ができない状態で、販売から1年たたずに完売。
 栽培管理は第三セクターが行っていて、その他にも繁忙期には地元の農家をパートで雇用するなど、地域活性化にも一役買っている。「農家の方の協力がなければ、栽培管理ができません。農家の方からは、いつもパワーをいただいています」と坂上主任は話す。
 近年は、雪や病気で木が折れたり枯れたりするほか、老木でブドウの収穫量が減り、ワインの製造量が減少。苗木の更新などの対策が課題という。「ワインの需要に対して供給が足りていないので、ブドウの栽培本数を増やしていきたい」と坂上主任。「これからも高品質で、地元に定着し、愛され、自慢できるワイン造りを続けていきたい」と夢を話す。

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