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にいがた版 2022年9月1週号

洪水被害軽減へ/広がり見せる田んぼダム

 2002年に村上市神林地区で始まった「田んぼダム」。水田の排水量を調整し、雨水を水田内に貯水することで排水路や河川への流出を抑制し、洪水被害を軽減する取り組みは、全国各地で実施され、大きな広がりを見せている。田んぼダムは地域にどのように根付いたのか、長年研究している新潟大学農学部・吉川夏樹教授に話を聞いた。

落水量の調整装置(コーン型)を設置する吉川教授
排水管内部に設置するコーン型装置

 

 田んぼダムは水田を貯水に利用するので、施設を造成する必要がなく費用負担が安価で済むのが特徴。「排水量を調整する装置は、排水枡(ます)の形状によって異なりますが、調整板のタイプでは1枚数百円と安価です。簡単に設置でき、整備不要で長期間の効果が期待できます」と吉川教授は話す。
 県内では18市町村1万4832㌶(21年度)で実施されていて、水害に対する抑制効果について11年の新潟・福島豪雨では、新潟市南区白根の圃場整備水田の約8割で田んぼダムを実施。未実施だった場合のシミュレーションと比較した結果、浸水面積と氾濫水量は約2割減少したという。
 長期間の治水効果が発揮され、設置が簡単で安価な取り組みだが、一方で、農家のメリットがあまりないのが課題となっている。
 「今後、取り組み面積を拡大していくには、実施する農家に対してメリットが必要です。また、正しい装置を使用しなければ継続した取り組みになりません」と吉川教授。
 見附市では、田んぼダム事業区域の1200㌶で実施しているが、多面的機能支払交付金を財源とし、畦畔(けいはん)の管理に作業賃金を発生させる仕組みを構築したことで、継続した取り組みとなっている。
 温暖化により気候が極端になり、豪雨災害が頻発している。今こそ地域一体となって災害対策に取り組む必要がある。

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