NEWS & INFORMATION

ニュース

昨年8月の県北地域の大雨被害を振り返る(2023年5月1週号)

2022年8月3日から4日にかけて、村上市、関川村、胎内市、阿賀町など県北地域を中心に記録的な大雨となり、各地で土砂災害や浸水など大きな被害が発生した。当時の様子や被害状況などを、関川村高田集落の副区長を務める須貝昭一さん(66)に聞いた。

須貝さんの車庫は浸水し目の高さまで水位が上がった
「災害の経験を伝えていくことが大切です」と須貝さん

 「強い雨が絶え間なく打ち付ける音や、雷鳴が響いていました」と当時の様子を話す須貝さん。
 県北地域の降雨量は、統計開始以来の極値を更新し、記録的短時間大雨情報が計16回も発表された。関川村下関で観測した時間最大雨量は、県内観測史上最大値となる149㍉(全国第6位)を記録した。

 須貝さんは現在、水稲2.4㌶を栽培。関川村高田集落の副区長を務め、2021年からNOSAIの損害評価会委員も務めている。

 川の水位が上昇し始めたため、同集落の役員と相談。村からの避難情報が出る前に避難場所となっている旧川北小学校へ避難することを決めた。「8.28水害(1967年の羽越水害)の怖さを身をもって知っているので素早い行動につながりました」と話す。

 同集落では、太田沢川や前川の溢水(いっすい)による内水氾濫が発生し、約150㌢まで水位が上昇し、床上浸水などの被害が発生した。水が引いた後も集落内には流木や泥が多く残り、復旧には多くの時間と労力がかかった。

 損害評価会委員として水稲の被害現場を回った須貝さん。圃場内に土砂や流木が入り壊滅的な状況などを目の当たりにし「つらかった」と胸のうちを明かす。

 自らも水稲や建物、農機具に被害を受けたが、水稲共済や建物総合共済に加入していたため、共済金の支払いを受けることができた。しかし、乾燥機や田植機、草刈機などの農機具は火災共済の加入だったため、支払対象とはならなかった。

 「万が一に備えていたつもりでしたが、予想をはるかに超える災害でした」と改めて自然災害の怖さについて話す。

 復旧が進み今年の水稲作付けは可能だが、通常通りの収穫を迎えられるかが心配だという。「これからも健康を維持し、体の続く限りは農業を続けたいですね」と前を向く。

to_top