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積み重ねで経営改善 酪農をこれからも(2023年5月3週号)

「経営を安定させるため『自分で考えて行動に移すこと』を信念に努力してきました」と話す新潟市江南区横越で乳牛を50頭飼養する坂井武史さん(47)。2017年に父の武雄さん(74)から経営移譲されたのを機に経営改善に取り組み、安定経営を実現させている。

飼料の60%は国産で賄っているという武史さん

 為替相場や国際情勢などの外部要因で経営が左右されやすい酪農業の現実から脱却するために、機械化に着手し労力軽減を図る武史さん。経費を抑えるため、離農した酪農家から農機具を譲り受け、規模拡大を視野に大型機械も導入した。

 さらに、輸入飼料に頼ることを改め、できるだけ国産に置き換えた。牧草は借地で栽培し、地元の飼料用米と酒粕〈かす〉などの食品残さを仕入れ、約60%の飼料を国産で賄う。

 「機械の導入は農機具メーカー、飼料用米の入荷には農家、食品残さは食品業者など多くの人たちの協力で成り立っています」と武史さんは感謝する。

 そのほかにもJAや獣医師にも相談し、経営上のアドバイスを受ける。経営改善は少しずつ功を奏し、飼料費高騰と生乳の需要低迷で酪農業全体が苦境に立たされている中でも、経営は安定した状態が保たれているという。

 「ここまで来るのに、試行錯誤を重ねました。とても簡単なことではなかったです」と苦労を振り返る武史さん。「これからの時代を酪農家が生き抜くには、周りの動向をしっかり把握し、見極めて自ら行動することが重要だと思います」と話す。

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