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上越で温州ミカン(2023年12月1週号)

千葉県から鹿児島県の海岸線沿いが栽培適地とされる温州ミカン。新潟県では佐渡島での栽培が有名だが、県内南西部に位置する上越市頸城区手島の「中島みかん組合(組合長・晒科功さん=73歳)」では有志が集まり、温州ミカンの栽培に取り組んでいる。

「試行錯誤を重ねてここまできました」と話す晒科さん
山を切り開き整備されたミカン園地

 晒科さんは、4人の組合員とともに、集落の裏手にある山を切り開いた約10㌃の土地でミカンをメインに、リンゴ、ユズ、ブルーベリーを栽培している。

 もともと飲み仲間だった5人が「定年になったら何かやりたい」と夢を語り合い果樹栽培を決意。栽培する作物の選定を2~3年ほど続けていたところ、当時知り合いだった農研機構上越研究拠点の所長からミカンを勧められ、栽培に取り組むことを決めた。組合員が所有する山を栽培地に使用し、2008年に定植した。

 樹木の冬囲い撤去から、夏の摘果、秋の追肥など年間を通してさまざまな作業があるが、手島地域ではミカン栽培が普及していないため、栽培技術の指導を受けることが難しく、インターネットで情報収集するなど独学で栽培方法を習得している。

 「海辺に面した山の段々畑で栽培されるイメージがあったので、ミネラル分が大事なのではと、海水をくんで与えていたこともありました。今は油かす肥料が一番いいですね」と苦笑いする晒科さん。ほかにも、霜害やコナジラミによる病害を防ぐため、冬囲いを外すタイミングや防除に苦労するという。

 地道な努力で収穫量は年々増えていて、昨年は約300㌔を収穫した。収穫したミカンは組合内のほか、近所の人々など合わせて20軒ほどに販売し、購入者が毎年、口コミで増えている。

 最近では、よく実ったミカンの姿を見て「自分も植えてみようかな」と思い、苗木を植え始める人も現れているという。「肥料や霜害に気を付ければ育てやすい。栽培方法を尋ねられたら、いつでも教えています」と晒科さんは笑顔を見せる。

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