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「いぶし大根」これからも続ける(2024年3月3週号)

 「農業は天気次第、どうにもならないことは仕方ないとあきらめています。ウジウジしない性格なので、農業に向いていたのかな」と話す魚沼市大浦新田の梅田一平さん(36)。水稲5㌶、スイカ1.5㌶、ダイコン70㌃、タラの芽35㌃のほか、ビニールハウスで「八色菜」の栽培を行う。冬季には魚沼地域で昔から食べられているダイコンの漬物「いぶし大根」の製造、販売を行っている。

いぶす前といぶした後のダイコンを手にする梅田さん
「いぶし大根を楽しみにしているお客さんのためにも続けていきたい」と梅田さん

 農業の魅力について「手をかけただけ成果が目に見えて分かるのでやりがいを感じますし、太陽の光を浴びて仕事をしていると健康になれます」と話す梅田さん。

 いぶし大根は、ダイコンを縄で縛って加工施設につるし、約5日間、丁寧にいぶし続けた後、ぬか漬けにしたもの。自家栽培したダイコンを自家産「コシヒカリ」のぬかで漬けていて、1989年に設立された「小出南部いぶし大根生産組合」で活動する前から販売している。

 「いぶし大根は米やスイカと違い、販売も行っているので価格を自分で決めることができます。現在は冬季だけの販売ですが、通年で販売できるようになれば売り込みもしやすくなり、経営を安定させることができると思います」と話す。

 一方で、2021年に施行された改正食品衛生法では、漬物の製造販売が許可制になり、製造施設などの整備が求められることとなった。要件の経過措置が終わる今年の6月からは完全施行され、自家製の漬物を販売してきた農家の中には、法改正への対応を断念して廃業する人も出ると予想されている。

 「今まで調理の延長で製造販売していた農家の中には、漬物販売から撤退する人もいると思います。法改正の対応は大変ですが、いぶし大根を楽しみにしてくれているお客さんのために、これからも続けていけるよう設備の整備などの検討をしていきます」と梅田さんは話す。

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