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果樹 親子で築く良品生産(2024年4月3週号)

 「果物の栽培では土壌改良に一番気を使っています」と話す加茂市山島の捧〈ささげ〉吉隆さん(64)。ナシ1㌶、モモ36㌃のほか、リンゴとブドウを栽培する。会社員として働いていた息子の隆将さん(26)が昨年の5月に就農し、現在、親子で果物作りに励んでいる。

栽培技術を話し合う捧さん親子

 メインのナシでは、和ナシ7品種のほか、洋ナシ「ル レクチエ」を栽培。捧さん方では25年ほど前に土壌改良に取り組み始め、現在はおがくず、発酵微生物資材、硫安(硫酸アンモニウム)、過リン酸石灰を混ぜた自家製堆肥で収量アップにつなげている。

 近年は土壌分析を行うことで果物に必要な成分を把握。連作障害などへの対策も講じている。「今後は腐食の数値を高めることで、土壌内の微生物量を多くし、雨や日照りに耐性のある環境づくりをしていきたいです」と異常気象への対策を話す。

 吉隆さんは「糖度が高く、甘いだけの果物だと消費者も飽きてしまいます。消費者が満足するように、品種ごとに甘み・酸味・渋み・苦味が異なる果物を作っていきたいですね」と話す。

 剪定〈せんてい〉時には日当たりが良くなるよう枝を切り落とし、強く健全な樹にするため、硫安系の肥料を与える。防除回数を減らすことで、燃料費を削減しているという。

 吉隆さんは、息子の就農に喜びを見せる一方、果樹農家は高齢化と担い手不足から空き畑が増えていく現状を心配する。「息子には地域の若い農業者同士で意見交換し、空き畑をなくす取り組みや、6次産業化を目指してほしいですね」と期待を寄せる。

 隆将さんは地区の若手担い手で構成される研究会に所属し、同世代の果樹農家と交流を深めている。「父の考え方や研究会・講演会などで話を聞いて知識を蓄え、ネット販売やSNS(交流サイト)での情報発信などに力を入れていきたいですね」と意気込む。

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