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県産米を活用 誰もが喜ぶ非常食を(2025年2月1週号)

「非常食は病気やアレルギーがあっても問題なく食べられるものでなければと思って商品開発を進めてきました」と話す豊永有さん(60)。長岡市脇川新田町の有限会社エコ・ライス新潟の代表取締役を務める。同社では県内農家の米の集荷・販売や、非常食・酒などの商品開発を行っている。

「地元農家の米を活用してさらに商品開発を進め、食のバリア解消に努めたい」と豊永さん
エコ・ライス新潟が中心となって開発したアルファ米の商品。お湯か水を入れて待つことでふっくらしたご飯が食べられる

 同社は、新潟県産米を原料にした非常食を主力としている。「中越地震の頃は、病気などで“食のバリア”を抱える人が食べられる非常食の備蓄がありませんでした」と振り返る豊永さん。避難所で食事に苦労する人の姿を見て、食事制限が必要でも問題なく食べられる非常食の開発に至ったという。

 人工透析患者はタンパク質を制限する必要があるが、同社で開発した「はんぶん米〈まい〉」は「春陽〈しゅんよう〉」という品種を使用。体に吸収されやすいタンパク質が一般的な品種の半分以下という特徴を持つ。また、原料が米だけで、味付けや添加物がないことで、アレルギーや塩分制限にも対応している。

 東日本大震災や熊本地震では、発災直後から繰り返し現地入りして非常食を届けた。豊永さんは「被災者の中には食事制限が必要な人が必ずいます。しかし避難所では食事制限対応の非常食を選別している余裕もないので、必要な人には直接届けなければならないことも現地で感じました」と話す。

 現地での活用実績から、多くの自治体で備蓄されるようになり、現在では他の非常食を含め全国約300の自治体へ提供している。

 また同社では、事業で利用するエネルギーにも気を使う。「会社の駐車場には、2022年に太陽光パネルを設置しました。輸出も手がける中で、取引相手からエネルギーや環境への取り組みを聞かれることが多く、再生可能エネルギーの比率を上げなければと思いました」と豊永さん。

 「太陽光発電をさらに増やしながら、地域の農家や学生と関わる商品開発をもっと進めたいですね。非常食だけでなくお酒も」と笑顔を見せる。

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