イチゴ「種子繁殖型」品種栽培(2025年4月1週号)
新潟市西蒲区巻甲の「グリーンファーム北越株式会社」では現在、2棟のハウスでイチゴを栽培。同社は、農業資材の販売などを手がける「北越農事株式会社」のグループ会社として2018年に設立された農業法人だ。「見せる農業」を目的として新技術や新品種の導入、営農支援を積極的に行い、日々、農家に新たな提案をしている。


現在、新潟県産ブランド「越後姫」の出荷が盛んなグリーンファーム北越では、その他に比較的新しい品種「よつぼし」「すず」「はるひ」を栽培・出荷している。
これらの品種は「種子繁殖型」といわれる珍しいタイプだ。一般的なイチゴは、ランナーといわれる親株から伸びる子苗を使って繁殖させるが、種子繁殖型は種子を使って繁殖させる。
種子繁殖型のメリットは、苗管理の期間を大幅に短縮できるため、作業負担が軽減される点にあるという。
通常は親株を購入してからランナーを伸ばす過程が必要であり、定植までに約11カ月を要するが、種子繁殖型は播種から約5カ月で定植が可能となる。発芽した苗を直接購入することもできるため、播種から発芽の期間をさらに省略することも可能だ。
また、親株からの病気伝染リスクをゼロにし、株数の確保が容易だという点も挙げられ、導入メリットは多いという。
これらの品種は、比較的硬めな子実と、子実の連続性を特徴としている。硬めの子実は越後姫の課題だった輸送性の悪さを払拭し、販路拡大に貢献できる。さらに、連続的に実るため、収穫量の増加が期待。イチゴ狩りにも適している。
一方、越後姫に比べ知名度が低いため、消費者に受け入れてもらうための工夫が課題だという。
加藤輝〈あきら〉取締役(37)は「これからも新しい技術や品種に挑戦し、農家の皆さまに実際の現場を見ていただくことで、新しい取り組みや所得の向上につなげていくことができればうれしいです」と笑顔で話す。