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ピーマン/中山間地に光明(2025年8月1週号)

妙高市の中山間地では、米だけに頼らない農業を目指して、ピーマンの栽培に力を入れている。他の野菜と比べ作付けに必要な面積が小さくて済み、中山間地でも育てやすく、実が軽くて収穫しやすいことから、高齢者でも育てやすいと人気が高まり、生産者が年々増加。妙高市上濁川の小島康彦さん(67)は、2019年から標高250㍍の圃場でピーマンの作付けを始め、現在は12㌃で800本の栽培に取り組んでいる。

「今年は尻腐れやすり傷果などを減らして出荷量を増やしたい」と小島さん
収穫期を迎えたピーマン圃場

 小島さんは職場を退職する前から、加工ナスやシシトウなどの野菜を作りながら、中山間地に適した作物を探していた。ピーマンはイノシシやハクビシンなどの被害が少なく、市場価格が安定している。また、14年からJAえちご上越が共同選別を始めたこともあり、栽培に踏み切った。

 圃場の周辺に水源がないため、毎日、自宅と近所の井戸から水をくみ上げて運ぶ。倒伏を防ぐためネットを張るなどの手間もかかるが、やりがいを持って取り組んでいるという。

 「23年は猛暑と干ばつの影響で尻腐れが発生し、収穫した半分を廃棄しました。しかし、24年はこれまでで最も多い出荷量になりました」と小島さん。灌水(かん すい)装置を自動点滴チューブにして、株が弱らないよう追肥のタイミングを徹底した結果、10㌃当たり収量は5年前の1.3倍に増加した。

 収穫したピーマンはへたを切り、1次選果してJAへコンテナ出荷。JAの集荷場で2次選果して包装した後、上越産ピーマンとして県内市場や生活協同組合に出荷される。

◎就労支援事業所に作業の一部を委託

 収穫と選果の作業はパートを含めて3人で行っていたが、収穫量が増えたことで人手が必要となり、24年からは地域の就労支援事業所に作業の一部を委託。農福連携につながっている。

 小島さんは「ピーマンは中山間地農業の活性化が期待できる野菜です。私から話を聞き、圃場を見て栽培を始めた人もいます。今後は生産者をさらに増やして、一大産地を築きたいですね」と意気込む。

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